今や私たちの生活に欠かせない電子機器にはESD(Electro Static Discharge: 静電気放電)という

 不具合や故障の原因となる敵が潜んでいます。人間の帯電が引き金となり電子機器に触れる瞬間に

 急激な電気放電が発生し、結果的に信頼性の低下や市場投入までに影響を与えてしまうのです。

 

 問題が起きてからESD保護を検討するのではなく、事前に対策を講じることが、より信頼性の高い

 製品を設計する上で極めて重要です。ここでは、ESD保護の重要性から対策方法、ESD保護を実現

 するコツまでご紹介します。

 ※本記事は、Semtech Corporationが公開したブログ記事を日本語でわかりやすく解説したものです。

 

 

  ー目次ー

  ・設計者に必要なESD(Electro Static Discharge:静電気放電)保護の考え方

  ・電子機器を守るための重要対策とESD保護素子TVS(Transient Voltage Suppressor)の役割

  ・システム保護における課題

  ・より信頼性の高いESD保護を実現するコツ

  ・まとめ

   設計者に必要なESD(Electro Static Discharge:静電気放電)保護の考え方

   電子機器を設計する際、設計者はESDイミュニティのIEC 61000-4-2等のシステムレベルESDの規格を満たすための設計と

   その評価の作業を行います。

   ESD発生器(ESDガン)のCs、Rd値は、HBMANSI/ESDA/JEDEC JS-001 デバイスレベルESDの場合では

   Cs 100pF Rd 1500Ω、IEC61000-4-2 システムレベルESDの場合では、Cs 150pF, Rd 330Ωを使用します。

   システムレベルESDではデバイスレベルESDよりもCsのキャパシタンス値が1.5倍大きく、また直列の抵抗値が4.5倍

   小さいことから、DUT(被試験物)に対して大きなエネルギーが印可されることが判ります。

 

   保護要件については、システムレベルのESD、雷サージ(誘電雷)、エレクトリカルトランジェントバースト、短絡、

   電圧スパイク、ケーブル放電などがあります。このような過渡的な放電が存在するため、設計者は、「より信頼性のある

   システムを設計するためには、どれだけの保護があれば十分なのだろうか?」という問題に注意をする必要があります。

   電子機器を守るための重要対策と

         ESD保護素子TVSTransient Voltage Suppressor)の役割 

   EOS(Electrical Over Stress:電気的オーバーストレス)の様な一過性の事象は、頻繁に発生します。

   電子機器は特に外部からのインターフェース周辺ラインを保護することが重要です。

   対策として、ESD保護素子の1つであるシリコンベースのTVS(Transient Voltage Suppressor)を使用することで

   ESDやサージからICを保護することが可能です。シリコンベースのTVSでは、過渡的な電圧やサージに対して

   低インピーダンスで即座にONし、エネルギーをGNDへ逃がすことでICを守ります。

   システム保護における課題

   設計者は、スイッチやコネクタ、ディスプレイに関してはESDの印可で接続されているICの破壊リスクが高く

   それら以外の部位は低いと考え、ある箇所だけをESDの保護対象とする場合があります。

   しかし、保護対象としていないパスに関してもESDの経路となるため、ESD保護対象となるICのピンに関しては

   十分な検討が必要になります。また、ESD保護素子の選択も慎重に行う必要があり、特にクランプ電圧や応答時間、

   ON時の動的な抵抗値の特性が劣る場合、システムの十分な保護が困難となります。

   特性の悪いESD保護素子では期待通りにICを保護できない場合があります。

 

   このような課題に対処するためには、シリコンベースのTVSが効果的です。

   シリコンベースのTVSは、優れたクランプ電圧抑制能力と高速な応答性能、またON時の動的抵抗値が低く、

   信頼性の高いシステム保護を提供します。

   過渡的な電圧変動やサージからICを素早く確実に保護し、システムレベルのESD要件を満たします。

   より信頼性の高いESD保護を実現するコツ

   信頼性の高いESD保護を実現するためには、保護対象のICに適応したTVSを選択することが重要です。

   高品質の電子機器では、これらのTVSを積極的に使用しています。例えば、監視カメラやIPワイヤレスカメラでは、    

   ESD保護のためにEthernet、RS-422/485、メモリーカード、USB、オーディオIO、HDMIの各インターフェースに

   専用のTVSが使用されています。

   USBインターフェースでは高速・低速データライン向けに異なるTVSが使われ、VBusの保護にも別途対応したTVSが

   採用されています。また、コントロール・パネル、電子ロック、アラーム、キー・フォブ、近接センサー、ビデオ・

   ドアベルなども、それぞれの機能に適したTVSを使用しています。これらのTVSはシステムの信頼性を高め、異なる

   部分で発生する電気的なストレスやサージから機器を確実に保護しています。

   まとめ

   適切なESD保護の程度を判断するには、多くの要素を考慮する必要があります。ほとんどの電子機器は、

   特定のイミュニティ規格を満たす必要があります。

   一般的に、EOSがPCBに侵入する可能性のある経路で電子機器の破壊が懸念される箇所はすべて保護する

   必要があり、TVSを使用することで保護ができるといえます。

 

   新光商事は高性能で信頼性の高いESD保護製品を取り扱う、Semtech Corporationのご紹介が可能です。

   Semtech Corporationは、様々なアプリケーション向けにシステム保護のソリューションを提供しています。

   ESD保護でお困りの方、TVSダイオードをお探しの方は、お気軽にお問い合わせください。

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